アドリア海に面したアンコーナという港町から30㌔ぐらい内陸に入ったところにファブリアーノという街があります。あまり知られていないようですが、この街がイタリアで有名な紙の街なのです。紙のことが知りたくて街の中心にある「紙と透かしの博物館」に行ってきました。ファブリアーノの紙は、原料がこうぞうではなくて、コットンや麻なのです。コットン紙と言われる紙が作られるようになったのは古く、1200年代には紙づくりが始まっていたそうです。ファブリアーノの紙はミケランジェロ、ベートーベンなど芸術家が愛した紙と言われています。
コットンなどの生地を切り裂いて、水車を動力にしてたたいて繊維状にする。機械を動かしてくれました。
繊維状にしたものを水で溶かしてすきやすいようにする。
型ですいて薄い紙にする。水を吸い取るために一枚一枚を厚い布の間にはさみこむ。
紙をすくう型 銅線が張ってあります
糊付けをする。 紙を使うにはインクなどがにじんでしまわないように糊付けをするのだそうです。ファブリアーノではこの糊を動物のニカワを原料に使っていたそうで、このことは大発明だったようです。
ファブリアーノ紙の透かしの技術も素晴らしく、お札や証券などに生かされていて、ユーロ紙幣の偽造防止になっているそうです。
ファブリアーノには古くから紙の工場(会社)ファブリアーノ社があって、ハイテクな新しい紙作りになっても古くからの紙作りを伝承し、紙作りを行っているそうです。このファブリアーノ社はイタリアで印刷されるユーロ紙幣の紙、全量作られているそうです。 日本からの見学者が珍しいみたいでミュージアムの方がつきっきりで説明してくださいました。紙すきなど日本の和紙技法と同じところがあることを実感できました。ファブリアーノに寄ってコットン紙のことを知ったこと、良い旅の1日になりました。