生徒さんのKさんが、お母様の着物を洗い張りして、ご自分の着物に仕立て直しされました。先日、仕立て上がってきたのですが、新しい着物と思えるくらいにきれいで二人で感激でした。
お母様は背がKさんより低くて、裄もみじかいので、幅は出して仕立てなくてはいけなかったのです。紬の着物は縫い目になる線が残ることが多いのですが、お母様が着られた回数が少なかったこともあって、縫い目の線も見えなく洗い張りができ、きれいに仕立てあがりました。 着物が汚れた場合、そのままで洗う「生洗い」、「丸洗い」と、全部をほどいて洗う「洗い張り」があります。また、汚れた部分だけをきれいにしてもらう「しみ抜き」もしてもらうこともできます。現在、洗い張りは専門のお店に出しますが、昔は家でも洗って仕立て直しをしていました。 私の母も当時は着物をほどいて洗い張りをしていました。ほどいた着物を水洗いで汚れを落とし、全体に薄く糊をし、2㍍以上ある専用の板に布目をとおしながらきれいにはって、乾かしていました。布をはがす時、紙のようにバリバリとはがれるのが楽しそうで、一緒にやりたかったのですが「着物が切れるからダメ!」と言われ、できなくてつまらなかったこと記憶に残っています。 洗い張りをして仕立て直すことが、主婦の大事な役目(仕事)だった時代もあったのですね。今は大変さだけを思いますが、日本女性が器用なこと、そして、ものへの想い、ものを大事にすること、大切にしていたのだと思います。