母が亡くなって三年になります。母は着物が大好きな人で、私が着付けを習い始めたのは母に「着物は自分で着られないとダメよ。」と強くすすめられたからでした。私も着物が大好きになり、着付けの仕事をするようになったことをとても喜んでくれていました。母と着物の話しが一緒に出来たこと、思い出がたくさん出来たこと、ほんとうによかったと思っています。 母の振袖が2~3枚残っていました。母が振袖を着たのは20歳前後と思いますので、もう80年近くたっていますが、良い状態に思えたものが1枚ありました。昔の染めを大事にしたかったことと、素敵さも感じたので残ししておきたくて、洗い張り屋さんに相談しました。古い汚れがあるのできれいにならないと思うけど、洗うことは大丈夫ということで洗い張りをしてもらいました。
今年、長女の娘Hちゃんが十三参りなのです。とても活発な女の子ですが、おばあちゃんのお振袖の話をしたら、「着てみようかな!」と言ってくれたのです。この夏休み中に写真撮りをということになり、急いで和裁師のO先生に仕立てをお願いしました。もう生地も弱っていますし、取れない汚れや小さな穴などで大変だったと思いますが、きれいに仕立ててくださいました。 母の振袖がもう一度Hちゃんで生き返りました。うれしさでいっぱいです。