子どもが生まれてお宮参りをされるときの「お掛け」は一つ身(赤ちゃんの着物)ですが、着物としての一つ身は今ではほとんど作られていないと思います。 写真の着物は私が生まれて3~5ヶ月の時に着せてもらっていた一つ身で、母の実家から贈られたものなのです。実家の地域では、子どもが生まれたら母親の実家から一つ身の着物を贈る風習だったそうです。この着物は2枚とも綿入れになっています。私は7月生まれで着る頃は寒くなりますので、綿入れの着物を作って贈ってくれたのだそうです。上の写真の着物はちゃんちゃんこが付いています。 娘が生まれた時(もう40数年前になります)、一つ身がきれいに残っていることを思い出し実家から持ってきました。
一つ身の着物は後ろ身頃を布幅でとりますので、背縫いがないのです。 子どもの着物には紐を付けます。紐のつけ方は決まっていて、女の子は縫い目を上に男の子は縫い目を下につけるのだそうです。
一つ身には、紐つけに糸で刺繍をして「紐飾り」を付けます。「紐飾り」の由来は諸説あるようですが、魔除け、お守りとしてつけられていることが多く言われています。 「紐飾り」について調べていて、「迷子のお守り」というおもしろい由来を知りました。 衿裏に「紐飾り」の縫い糸をあえて残しておくのだそうです。迷子になって、もし悪いものに糸を引っ張られても、糸が着物から抜けて捕まらないというおまじないの意味が込められているそうです。
そのお守りがこの着物にもありました。糸はじを外に出して2㎝ぐらい残してあります。 子どもの安全な成長を願う気持ちはいつの時代でも同じですが、こんなところにもその願いが込められていること知り、今よりも子どもが成長することの大変さを思いました。