着物を着て知っていくと、日本人の知恵のすばらしさ、そして器用さを着物に感じます。
縫込みも着物の優れているところではないでしょうか。礼装用の着物は柄合わせがありますので、着られる方に合わせて決められた場所に縫込んで、その方の寸法に仕立てます。また、小紋や紬、そして色無地も、必要以上の揚げは入れませんが、縫込みを作って仕立てます。ですので、体型が違っても縫い直しをして着ることができますし、母親が着た着物を娘が受け継ぐこともできるのです。
身丈(着物丈)は、身長に合わせて内揚げ(縫込み)をして長さを決めます。昔の人は自分で仕立てる時、小紋など内揚げをしないで、余分として残しておく人も多かったようです。私の母もそうでした。布は大切でいろいろなところに利用できて縫えるからと、もし着物の身丈を伸ばしたい時は、ウエストに縫い足せばよいと言って布地を残していました。
母が仕立ててくれた着物の残り布が今もそのまま残っています。
着物とお揃いのポーチを、母が作ってくれました。付け下げ小紋としてお祝いの時に着ていた着物ですが、お揃いのポーチがひそかに自慢だったこと覚えています。